⑥IT業界はブラックだ!でもIT業界に帰るしかない

想定外の合併にみんなビックリ。

でも会社がどうなろうと、そもそも愛社精神のようなものは皆無。

雇用が継続されることで安堵している人もいたが仲間たちの進路は別れました。

会社に残る者、去る者、ぼくは進路を決めかねていたのでした。

 

黒いヤツラに僕の給料が渡っているんだという思い

僕は上司のSさんと話をしたいと思いました。

Sさんなら僕の進路を決めてくれるかもしれないと思ったのです。

(自分で決めろよって話ですけどね)

T社に向かい、Sさんと会いました。

Sさんは合併後も管理職として僕たちをまとめていく役割を担う事になりました。

元社長は事業部長としてでT社で仕事を続けていくようです。

 

一律に給料は下がり、元社長は「やってられない」と文句を言っていました。

Sさんは、普段通り淡々としていました。

会社のロビーのような場所でSさんと話しました。

 

「今の現場は嫌じゃないけど、会社を辞めようかなと思っているんです。」

「そうか、でも、あの現場は一度辞めたら二度と入れないルールなんだぞ。」

「そうですか・・・。」

「でも、色々なことがあり過ぎましたし、黒い噂も聞きます。」

「T社の社長もAさん(アウ)の知り合いらしいじゃないですか?」

「そんな黒い会社に協力してると思ったら良心が・・・。」

「そうか、俺はもう少し続けても良いと思うけどな。。。」

「事業部長(元社長)も、いつか会社を立て直すといってるしさ。。。」

「でも、最後は自分で決めろよ。こういう状況だし引き留めないよ。」

 

清々しく、そして暖かい言葉を頂きました。

僕の決意は固まりました。

 

なんと、社長、ブラックを認める!

その時の僕の思い。

考えれば考えるほど、ヤバイんじゃないかと思っていたことがあります。

 

それは、ブラックな人たちに自分の給料の一部が渡っているかもしれないこと。

僕の給料の一部が悪事に使われているなら、僕も「悪」じゃないか?

仲介者がブラックだけど仕事は楽しいですよって、おかしくないか?

罪悪感がぬぐい切れず、いったん、この組織から離れようと決意しました。

 

ぼくは、後日再びT社に赴き、「辞めます」と伝えるためにT社の社長と面談をしました。

本来は人事担当に伝えるべきですが、合併直後でしたから、

社長が直接会ってくれることになりました。

 

社長はかなり年配の方で、60~70歳くらいに見えました。

意外なことに僕を引き留めようとしました。

僕たちの給料は変わりませんが、合併された会社の幹部たちの給料が下がったことに対しては

「給料の高い会社はつぶれる」という持論を展開してました。

「管理職よりも、末端のエンジニアが会社にとって大切なんだ」的な話をされました。

 

ありがたい話ではありますが、その話をしたいのではありません。

ブラックな人たちと会社が関わっていることの真意、いや真偽を確認したいのです。

ぼくはSさんに話したように、そこを社長にズバッと聞いてみたのです。

 

「以前の会社で、黒い噂を聞きました」

「そういう人がいなければ会社は運営できないのですか?」

「今回も、裏の人たちの手引きで合併されたようですが、それが僕は嫌だから辞めたいんです」

 

すると、ちょっと残念な表情を浮かべた社長は、静かにこう言いました。

 

「君はまだ若いから、わからないかもしれないな」

「会社を大きくするには、そういう人たちの力を借りなければ難しいんだよ」

「会社を大きくするということは、そういうことなんだよ」

「どこの会社でもそうだよ」

 

20代の僕は、ビックリしてしまいました。

み、み、み、認めた・・・。苦笑

あっさり認めた・・・。

そう思いました。

 

まったく予想もしてない回答が返ってきて、

「正直にもほどがある」と言いましょうか、

開いた口がふさがりませんでした。

 

「はい、わかりました、しかし僕は会社を辞めたいと思います。」

「申し訳ございません。」

 

もちろんプログラムは好きだし、この業界を離れるつもりはもはやありません。

良い仕事を見つけたわけですし、いったん考える時間を作ろうと思ったんです。

 

初めての雇用保険「え、そんなにもらえるの?」

さて、会社を辞めますと、驚くような情報が入ってきました。

人生初の1年以上の勤務により、めでたく雇用保険の適用になるということ!!

しかも、ビックリするような金額が入ってくるのです。

今までこんなに長く働いたことが無かったですから、そんな制度があるなんてビックリです。

 

ビックリするような金額といっても、僕が作家・漫画家を目指していたときに、

アルバイトで稼いでいた時くらいの収入ですよ。苦笑

しかも、たったの3カ月だけ・・・。汗

でも、生活レベルは極貧状態のままずっと来てますから、

これだけの収入があれば、少ない貯金も切り崩せば十分に生きられます。

 

「よし、ここでいろいろ勉強したり、次の職のための準備ができる!」

そう思ったのです。

 

実際、仲間の4人組の一人は、職業訓練校に行くことにしたようです。

よし、僕もこれを機に何かをさらに身につけようと、そう思ったのです。

 

僕は、新聞の求人広告や職安でちょいちょい職探しをしながら、

何を勉強しようかと考えました。

資格を取ろうと思って過去に挫折した社会保険労務士などの資格関係の本を立ち読みしたり、とにかく本屋に通いました。

 

でも、あれこれ考えても頭の片隅にチラチラと見え隠れするのは、そう、あれです。

1つしかありません。

IT業界に入る前に目指していた、作家・漫画家です。。。

 

これが最後の「長期計画」を立てる

僕はその衝動が抑えきれず、次の職が見つかるまで、再び作家を目指してみようと思ったのです。

まず、家賃の高い都内から出て、節約しようと思いました。

近県の古いボロボロのアパートに住み替えたのです。(いちおう風呂トイレ付)

これで資金に余裕ができました。

 

さらに今回は長期計画を立てました。

職探しはするけど、かなり条件の良いものが出てくるまで待とう。

それまで、本を読んだり勉強して、さらに8割くらいは創作活動に費やそう。

節約すれば、失業保険が切れたとしても、1年はやっていけるだろう。

 

そして、この後どうなったかは以前にブログに書いた通りですけどね。

 

https://inumakedon.com/it-tenshoku/#outline__4

 

今回の一件で、まったく才能が無いことに気が付いた僕は、

「やっぱりIT業界しかないな」と、改めて痛感させられたのです。

 

派遣業界を転々とする日々、安定はないのか?

さて、創作活動と同時に転職活動もしていた僕ですが。

じつは、良い仕事が見つからなかったんです。

以前のブラックな会社で、ピンハネの仕組み(裏側)を知ってしまいましたから、

どうも求人企業が提示する給料が安く思えて仕方がなかったのです。

しかも、ほとんどが自社開発でなく、大手へ出向ですから、いわゆるピンハネ経営ばかりなのです。

 

 

そこで、いっそのこと正社員ではなく、派遣社員として働こうと思ったのです。

どうせピンハネされるなら、なるべくピンハネ率の低いところで働きたかったのです。

 

そこで当時は有名だった大手の派遣会社に話を聞きに行きました。

そしたら、割と自分が希望するくらいの単価で仕事があったのです。

「なんだ、最初からこういうところで働けばよかったよ!」

そう思い、ウキウキが止まりませんでした。笑

 

所詮、低スキルエンジニア、下働きばかり・・・

さて、はじめての派遣業界です。

どれくらいピンハネされるのか、ある程度分かったうえで働くわけですからね。

しかも、間にどんな会社が入るのか、ブラックな感じの仲介会社だったら即行断ればOKですしね。

(ブラックかどうかの派別はなかなか付きませんけどね…。苦笑)

 

というわけで、次に僕が入った現場は、大手の子会社でした。

そこで初めてJAVAを経験します。

しかし、、、しかしですね、これがまたクセのあるJAVA案件でして、

予め部品化されたJAVAのツールを使っての開発でして、ちっとも面白くないものでした。

最初は学習期間ということでマニュアルを読んでいたのですが、眠いの極地…。

 

いろいろとプログラムを作る練習を半月くらい続けて、さあ実装という段階で、

第1フェーズのリリースが近づき、一斉にテスト期間となってしまったのです。

 

1年しか経験のない僕は(しかもコボラー)、当然、テスト要員に回されます

3カ月ほどテストをして、いい加減、嫌になってきました。

 

元社長とバッタリはちあわせ!しかし、華麗にスルー(苦笑)

ところで、その現場にいた時に、面白いことが起こりました。

仕事帰りに地下鉄に乗ろうと、プラットフォームで電車を待っていました。

すると、駅の階段を上から降りてくる目つきの悪い男が見えました。

すぐさま例のブラック企業の「元社長」だとわかりました。

世界は狭いですね。。。

 

あの時から話をしてませんでしたし、挨拶だけでもしたいなと思いました。

ぼくは元社長が階段を下りてくる間、ずっと顔を見続けているんですが、

なぜか、目線が合いません。

 

「あれ、おかしいな、あれから1年もたってないし、

僕のことを覚えてないはずないんだけどな。。。」

 

階段の最後の段を降りた時に「○○さん」と元社長の名前を言った瞬間、

クルッと向きを変えて、ホームの反対側にスタスタと歩いて去っていきました。。。

 

ぼくは悲しい気持ちになるよりも先に、ガッカリしてしまいました。

元社長が過去の定例会で、こんなスピーチをしていたときのことを思い出したからです。

「ダメな奴ってのは挨拶もできねえからな」

「昔、道を歩いてたら仕事の出来ない同僚が暗い顔して歩いてたから『オウ』って挨拶したんだよ」

「そしたら、完全に無視して下向いてトボトボと歩いて行きやがるんだ」

「ダメな奴ってのは本当に自信なさげに下を向いて目もあわせねえし、挨拶もしねえんだよ!」

 

あなたも、そうなっちゃったんですかね・・・。

僕はこの時ほど、元社長のことを「同情」したことはありませんでした。

 

オッサン1名の会社に入る

さて、話は戻りまして。

テストばっかりやらされるわ、仕事はつまんないわ、

派遣会社のコーディネーター(営業さん)に伝えます。

 

「すみません、ちょっと想像していたJAVA案件とは違います」

「テストばかりやらされて、これだとスキルアップにもなりません」

 

「そうですか、こんな方法はどうでしょう?」

「もっと上司とコミュニケーションしたり、質問するとか」

「そうすれば上司も可愛いやつだと思って、良い仕事を振ってくれたりするものです」

 

「はあ、そうですか・・・」

「そもそも、JAVAとはいえ、変なツールでの開発ですし・・」

 

「そうですか、こんな方法はどうでしょう?」

・・・以降、繰り返し

 

コーディネーターさんとしては、いろんな不満は上司と仲良くなることで、

徐々に解決していくものだと伝えたいのかもしれません。

しかし、当時の僕には全く響かず、完全に希望スキルのミスマッチだと思っていました。

 

結果としては、その現場を3カ月で去りました。

派遣社員は原則として3カ月契約なので、3カ月で切ってもらいました。

やはり、前回の職場でもほとんどテスト要員でしたし、このままじゃダメだと思ったのです。

もう少し現場でどのような仕事をするのかもリサーチしなければなりません。

 

そこで、別の派遣会社も当たりました。

そこは、65歳を過ぎたオッサン(ジイサン?)が一人で経営する会社でした。

大丈夫かなあと思いきや、給料もいいし正社員として雇ってくれるというし、

これはけっこういいかも!

 

https://inumakedon.com/it-ichibujoujou/

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